10月くらいまでは、モリモリと成長していたししとうたち。
11月に入り気温が下がってきてからは、成長スピードが著しく遅くなりました。
夏と比べると固く太くなり、パックに詰めにくい・・・。
市況も下がってきたので、時給換算すると幾らになるのやら・・・
それに土づくりもしないといけないから、栽培を終了したい時期。
ということで、高知県の特産品でありながら、あまり知られていないししとうの姿を地域の方に知ってほしい。
ということでおすそ分けの意味を込めて、ししとう大感謝祭を開催することに決めました。
ししとう大感謝祭攻略戦の軍議スタート☺️ pic.twitter.com/6VoBRZUf24
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ししとう大感謝祭の目的
フードロスの削減
ししとうの栽培を終える場合。
ししとうの木を全て引っこ抜きます。
実っているししとうは取れるだけ取るのですが、全て取りきることは難しいです。
いくらかは捨てる形になってしまいます。
(そこにフードロスというものが存在するのでは?)
と思っちゃったんだからしょうがない。
何人かで収穫したら取りこぼしは減ると思います。
しかし誰かを雇って収穫をしていたら割にあいません。
地域の方におすそわけ
市況も安いし、どうせ引っこ抜く前だから畑が荒れても問題ない。
出荷できないししとうを地域の方にあげたら喜ばれたので、
それなら「ししとう狩り」という形にして無料で取ってもらおう!
と思いつきました。
高知県の特産品を知る
ししとうは高知県の特産品です。
冬春期の生産量は全国の約80%を占めているほどです。
ですが、ししとうの木がどれくらい大きくなるのか?
どれくらい実るのか。どうやって収穫するのか。
そういった事柄は農家さん以外あまり知りません。
私も大阪からUターンして、父親がやっていた栽培を手伝うまで知りませんでした。
地域の方にししとう狩りをしてもらうことで、高知県の特産品である、
ししとうのことを知ってもらうことができるのでは?と思いました。
ヤイロチョウを守る会の実績
私はヤイロチョウを守る会という小さな自然保護団体を運営しています。
主にヤイロチョウの普及啓発活動を行っていますが、主な活動はWEBや会報誌による情報発信のみ。
つまりソフト事業しかやってこなかったわけです。
イベントや講演会などのハード事業を主催しないと、実績としては弱いのではないか?という悩みがありました。
それを解消するために、ヤイロチョウを守る会の主催行事として開催する運びにしました。
新型コロナウイルス対策
「イベントとして開催するぜ!」
と思っても時代はコロナ禍のまっただなか。
小さな集落で大々的に開催するわけにはいけません。
想像以上に参加者があった場合、感染問題・駐車場問題・人手の問題など、
さまざまなトラブルが予想されます。
参加者の制限
基本的な新型コロナウイルス対策として参加者を絞りました。
地域の方は制限なし。
地域外の方は20名まで。
県外の方はお断りするようにしました。
といってもフライヤーに「県外の方はお断り!」と書くのもなぁ・・・
と思ったのでチラシには「メッセージを下さい。」と書くことにしました。
告知の制限
チラシは5枚しか刷りませんでした。
地域の区長さん、ししとう畑に隣接するお宅など、
渡さなければならない方のみに配布するだけにしました。
そもそも私はチラシに効果を期待していない。
というか効果の割に発生するゴミ(さばききれないチラシ)が多いのが嫌だなぁ、
と思っているので告知はSNSをメインですることにしました。
またSNSによる告知は開催予定日前日にすることにしました。
これで参加者をガバッと制限することができます。
収益目的ならあり得ない運営ですが、ターゲットは主に地域の方なので、
これでいいのだ!と判断しました。
5名くらい参加者があればいいかなぁという予想です。
イベント内容
ししとう狩り
メインイベントはししとう狩りです。
これだけだとイベントとして寂しいので+αで何かしないといけない。
何をしようかな。
DJ
左翼にDJ POPOPYを配置。 pic.twitter.com/ur9wrhMqch
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イベントといえば音楽!
ということでDJ POPOPYをブッキングしました。
DJ POPOPYは集落内だけでしか活動できないDJで、私です。
主にお盆祭りなど地域のお祭りで活動しています。
大きなスピーカーもあったし、最近ミキサーを購入したこともあり、
音楽を流すことは決定!
ライブペイント
パートナーのmariちゃんがライブペイントをやっているので、お願いしたら快くOKしてくれました。
ありがとうございます。
ライブペイントとは決められた時間の中で即興で絵を描くことですね。
音楽に合わせて描きたいということだったので、頑張ってライブペイントようのミックスをつくりました。
instagram: @maripinoco
写真展示
右翼には数年ぶりに参戦するリコちゃん。24歳の女の子です(設定) pic.twitter.com/bDc8ULUwAK
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最近めっきり出番がなかった写真作家の松田リコちゃんにもお願いしました。
松田リコちゃんはガーリィフォトを研究している写真作家で、私です。
でも写真を選別してプリントアウトする時間はない。
チェキで撮ったスナップ写真がいっぱいあったので、それを展示することにしました。
ベニヤにそのまま貼り付ける?
額に入れる?
と悩みましたが、私の大好きな手に取るスタイルの展示にすることにしました。
大阪の長堀橋に【ギャラリーアビィ】さんというギャラリーがありまして、『手にとる写真展』というグループ展を企画されています。
大阪に住んでいる頃に、このグループ展によく参加していたのですが、たくさんの客観的なイメージが連続して入ってくる感じがとても面白いです。
大好きな企画展で、自分に合っているなぁと思える展示スタイルなので、オーナーの吹雪大樹さんにお電話をして、許可をいただきました。
ありがとうございます!
ゴリゴリの写真あつめて、またグループ展に参加したいなぁ。
図書コーナー
図書コーナー。 pic.twitter.com/1s5KmBJNb7
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本が好きなので図書コーナーも設置することにしました。
生物多様性こうち戦略やヤイロチョウの普及啓発の目的を果たす為でもあります。
【図書コーナーの本】
- 高知県環境白書(環境省)
- 生物多様性こうち戦略(高知県環境共生課)
- 保護林への誘い:生きた植物図鑑(高知営林局)
- 日本の自然に何がおきている?(環境省)
- 狩猟者必須(猟友会)
- 図説・英国ナショナル・トラスト紀行(小野まり)
- あたらしい草花あそび(相澤 悦子)
- ブッシュクラフト-大人の野遊びマニュアル(川口拓)
FOOD
セルフで焼いて、セルフで塩をかけて食べれるようにフードコーナーも置きました。
炭と良い塩を買って希望者があったら出すようにしました。
募金コーナー
PayPayのバーコードスタンドを設置して、募金コーナーも実験的に設置しました。
ししとう大感謝祭の準備
イベントなのであれやこれや準備をしないといけません。
やったんぜ!! pic.twitter.com/poDqI3YwI6
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まずは前もって草刈りをします。
イベント会場の草刈り! pic.twitter.com/SIP51H679o
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当日はテントを張って、音楽を流すためにサウンドシステムを組みます。
その名もヤイロチョウサウンドシステム!
PAチェック! pic.twitter.com/95K0umuQ8s
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写真展示は手に取るスタイルなので、あっという間に終わりました。
写真展示終了!
マッハで終わった! pic.twitter.com/sXo5K5Xg1C— ミスターヤイロチョウ(Yairocho Project) (@oyu_yairocho) November 29, 2020
図書なども置くだけなので簡単です。
準備は思っていたよりも簡単でした。
ししとう大感謝祭会場。 pic.twitter.com/b4FTzI5JqP
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ししとう大感謝祭当日
イベントスタート
朝の10時になってイベントがスタートしました。
「来てくれる人がいるんだろうか・・・」
とたんに不安になります。
もし誰も来なかった場合に「マドハンド夫妻が来てくれました!」
と報告できるように軍手を立てて写真撮影。
マドハンドご夫妻はお上品なので、パッヘルベルのカノンに合わせてダンスを踊っていらっしゃるという設定です。
その他に、ドキュメンタリー用の映像をセルフで撮影するなど、こまごまとした仕事をしていました。
そんなこんなをしていると一台の軽トラックが停まりました。
父親です。
「市場に出荷してお小遣いにしたいから取らせてくれ。」
とのこと。
(地域の方が1名参加してくれた!)
と思っていたら電話がなりました。
インスタグラムを見た地域の若奥様からの電話です。
「本当にいってもいいの?」という内容で、
「ぜひ来てください!」と返事をしました。
数分後にTAさん親子とTOさんが来てくれました。
地域の奥さまがししとうの妖精みたいな娘ちゃんときてくれました。 pic.twitter.com/e1kGgaEAFt
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(マドハンド夫妻と父親だけじゃあイベントとして成立しないよなぁ・・・)
と思っていましたが、フライヤーを見た方の参加があったのでイベント成立です。
看板を掲げました。
イベントが成立した事により、ここに看板を掲げる! pic.twitter.com/3h67n17QWo
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思わぬ繋がり
「収穫おもしろい!」
と楽しんでいたTAさんから、
「保育園にも声をかけてみたら?」
というお言葉をいただきました。
(園児がししとう畑でワラワラしてたらかわいいだろうなぁ。)
と思ったので即決。
保育園に電話をしてもらったところ翌日来てくれることになりました。
繋がりというのは思いもよらぬ所でうまれるのだなぁ。
(園児が来たらししとう畑から落ちそうになった子供をつかまえる仕事をしよう。)
とぼんやり想いました。
ししとう畑でつかまえてぇなぁ。
ライブペイント
アーティストのpinocoさん到着! pic.twitter.com/7C0hhhNNJX
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11時半になったのでライブペイントが始まりました。
焚火をしたりカメラチェックをしながら、mariちゃんの筆の歩みを眺めます。
ライブペイントはじまりました☺️ pic.twitter.com/ZH806GcZeb
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そうこうしていると四万十市の移住支援をされているSさんがご来場。
これで5人目の参加者です。目標達成!やった!!
Sさんは収穫の為にハサミをもって来ていたのですが、ししとうを取るのにハサミはいりませんよ~と取り方を説明。
取り方を説明する図が必要ですね。
時間が流れ、ライブペイントは佳境に。
最初は(人を描くんだ・・・)
と思っていましたが、なにやらmariちゃんがやたらとコチラを見てくる。
唇を描いたときに(私じゃんか!!)と気が付きました。
悲しい目をした私が描かれいますが、本人は爆笑。
おでこにししとうが描かれ、ライブペイントは終了しました。
とてもいい絵です。
ライブペイント作品『ししとうの神さま』 pic.twitter.com/ZidEPVqFZJ
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あとは通常業務です。
ライブペイントも終わりお昼ご飯を食べたら収穫作業です。
1週間くらい収穫していなかったので、まったく進みません。
参加者さんが採ってくれたから結構減ってるかも・・・と思っていたのですが、1%くらいしか減っていませんでした。
ししとう、おそるべし。
よくじつ!
朝の10時に保育園児が来てくれるので畑で待機していたところ、遠くから可愛い声が聞こえてきました。
なんと園児が15名、先生が4名も来てくれました。
すごい・・・すごいぞ!
畑の下の道端で挨拶をして、子供たちを畑へ案内。
前日のライブペイントの作品を展示していたので、子供たちが食いつきます。
「あれはなぁに!?」
「あれはししとうの神様だよ。」
と言うと何故か大喜びで絵の周りに集まりました。
信仰と崇拝のはじまりです。
ししとうの取り方を先生に説明して、子供たちを畑へ。
案の定ですが畝(うね)をガシガシ踏みますね。
収穫終了間際じゃないとできないなぁと思いました。
わいわいガヤガヤ採っています。
とっても楽しそうです。
先生からも「いつもはこういう収穫体験はすぐに飽きちゃうんだけど、今日は誰も帰りたがらないです。」
と言われたのでとても温かい気持ちになりました。
誰かが赤いししとうを発見してからは、赤いししとう探しがはじまりました。
緑のししとうになんて見向きもしません。
”遊び”の変化と誕生に立ち会えてちょっと感動です。
ビニール袋いっぱいにとってくれたので、さぞ減っていることだろう。
と思いましたが全体の5%くらいしか減っていませんでした。
おそるべし、ししとう。
思わぬ繋がりの繋がり
園児たちが帰り、エネルギーを奪われた私はぐったり。
イスに座って休んでいると、集落にあるガソリンスタンドのMさんから電話がありました。
前四万十市長のZさんご夫妻が行きたいと仰っている、とのことでした。
「ぜひぜひ!」ということで、Tさんご夫妻がご来場して下さいました。
奥さんからお話を聞いたらインスタグラムを見て気になっていた、ということで、
思いもしない繋がりが繋がりを生むものだなぁ。
そしてインスタグラムも効果があるものだなぁと実感しました。
まとめ
参加者はマドハンド夫妻2名で報告書を作ろうとしていたししとう大感謝祭ですが、
ふたを開けてみると参加者24名という思いがけぬ結果で終わりました。
見切り発車で開催したイベントなので、どういうデメリットが生じるのか考えていません。
ですので来年もやるべきなのか、そもそも私がやりたいと思うのか分かりませんが、今年に関していえばやってよかったと思います。
協力してくださった方々、ご来場者のみなさま、ししとうさん、ヤイロチョウに感謝です!