父親の農業日誌をエクセルに打ち込んでみた。村人の暮らしと息子による解説。

私の家は5反(5,000㎡)の田んぼでお米を育てています。

農作業の年間スケジュールは父親の頭の中にあり、どのタイミングで草刈りや稲刈りをするのかよく分かっていません。

 

朝になったら軽トラに乗ってやってきて「草刈りをするぞ!」と言うので、

「当日に言われても対応できないと何回言ったら分かってくれるの?」

というやり取りがお馴染みになっています。

 

これだと予定が組めないので、父親がつけている農業日誌をデーターベース化してみて、やまさき家の農作業マニュアルを作成してみようと思いました。

私はお米の栽培よりも、ししとうやナスといった園芸栽培の方が好きなので(言われた時に手伝ったらいいや。)くらいの気持ちだったのですが、

父親が齢をとってくると自分で予定を組まないといけないので、早いうちに全体の流れを把握しておいて損はありません。

 

農業日誌には病院に行ったことやパチンコに行ったことなどが書かれていましたが、農作業と暮らしに関することに絞って抽出してみました。

高知県の山奥のような田舎に暮らしていると「どうやって生活しているの?」と聞かれることがあるので、参考にしていただければ幸いです。

2015年1月

1月23日水稲草刈り
1月25日暮らしタラの木切り
1月27日暮らしトベラ作り
1月30日水稲草刈り
1月31日スナック豆網張り

1月は草刈りからはじまっていますね。

おそらく野焼きの準備でしょう。

 

水稲(すいとう)はお米のことです。

2015年の頃はヒノヒカリとモチ米を育てていましたね。

現在はヒノヒカリしか育てていません。

 

タラの木を切ってトベラを作っています。

トベラとはタラの木にトベラという樹木の葉っぱを挟んだ魔除けです。

節分の日に玄関に飾るものなのですが、父親は毎年作って保育園などに寄贈しています。

2月

2月6日暮らし米すり
2月23日暮らししいたけ収穫
2月26日水稲草刈り

2月はのんびりしていますね。

しいたけを収穫したり、草刈りをしていた模様です。

3月

3月13日土寄せ
3月14日土かけ
3月15日暮らし墓掃除
3月17日イモバレイショ定植
3月21日イモバレイショ定植
3月23日水稲草刈り
3月24日イモ手芋・里芋定植
3月24日インゲン豆苗床づくり
3月25日インゲン豆苗床づくり
3月26日水稲荒かき
3月27日水稲苗床づくり
3月28日水稲野焼き
3月28日イモ山芋畝たて
3月29日暮らしイダの産卵時期
3月30日インゲン豆マルチング
3月31日インゲン豆マルチング
3月31日水稲野焼き

どうやら村に春がやってきたようです。

作業量が一気に増えました。

イモを植えたり、種まきの準備をしたり忙しそうです。

 

3月29日にはイダ(ウグイ)の産卵があったようです。

春になるとウグイという川魚が産卵をするために一か所に集まって魚群をつくります。

そこに釣り糸を垂れるとエサもなく釣れまくるので楽しいですよ。

食べるには小骨が多い魚ですが、七輪で塩焼きにすると美味しいです。

 

私が大好きな野焼きもやっていますね。

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4月

4月2日インゲン豆根切り
4月4日ぜんまい山菜とり
4月5日水稲草刈り
4月6日水稲草刈り
4月6日わらび山菜とり
4月7日水稲草刈り
4月9日タケノコ山菜とり
4月11日わらび山菜とり
4月12日水稲草刈り
4月12日わらび山菜とり
4月14日水稲ケイカル散布
4月15日インゲン豆播種
4月15日ぜんまい山菜とり
4月16日トウモロコシ苗床づくり
4月16日ナス苗床づくり
4月17日しいたけ草刈り
4月18日イモ山芋定植
4月19日水稲田役
4月21日トウモロコシ播種
4月21日ナス定植
4月21日カボチャ定植
4月21日ピーマン定植
4月22日水稲草刈り
4月23日水稲草刈り
4月24日水稲草刈り
4月26日水稲草刈り
4月27日水稲裏あげ
4月28日暮らし延縄
4月28日小梅とり
4月30日イモカンショ定植

ワラビやゼンマイが萌え、タケノコが出てきたようです。

村は春まっさかり。

草刈りの作業量もグッと増えました。

 

4月14日にケイカルを散布していますね。

けい酸と石灰、微量要素が含まれた肥料です。

ケイカルを散布したら本格的に田んぼの仕事が動き始めます。

 

4月28日にはウナギの延縄も仕掛けていますね。

小さなカワムツをエサにして、一晩川につけるだけのウナギトラップです。

延縄。エサはタカハヤ。カワムツよりも釣れるらしい。
橋の上から垂らしたり、竹竿につけたものを石で固定して設置します。

5月

5月2日水稲苗代づくり
5月3日水稲苗代づくり
5月4日水稲草刈り
5月4日カボチャ風対策
5月5日水稲苗代水入れ
5月6日水稲苗代水入れ
5月7日水稲苗代水入れ
5月7日水稲種もみ消毒
5月8日水稲田役
5月8日草刈り
5月8日水稲水入れスタート
5月9日水稲もみ干し
5月9日水稲苗代づくり
5月10日水稲もみまき
5月14日野菜類草刈り
5月14日ナス定植
5月14日ゴマ定植
5月16日水稲田植え
5月18日水稲荒かき
5月18日水稲草刈り
5月19日水稲草刈り
5月19日水稲荒かき
5月20日麦刈り
5月21日麦干し
5月21日水稲草刈り
5月21日水稲荒かき
5月22日水稲草刈り
5月23日水稲荒かき
5月24日水稲荒かき
5月25日イモ苗づくり
5月25日水稲裏あげ
5月26日イモ畝たて
5月27日水稲裏あげ
5月29日インゲン豆初収穫
5月30日インゲン豆草刈り
5月30日イモツルとり

やまさき家が一番忙しいのは5月のようです。

なにしろ田植えのシーズンですからね。

ゴールデンウイークに苗代(なわしろ)を作って、もみまきをして、

田植えができるように耕して、管理しやすいように草刈りをして、田植えをする。

その合間に麦やら野菜類のお世話をしていたようですね。

 

月末にはインゲン豆の初収穫イベントが発生していますね。

おめでとう!

 

5月8日の田役というのは、お米を作る人に課せられる労役です。

詳しくは過去の記事をご参考ください。

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6月

6月1日インゲン豆収穫
6月2日水稲代かき
6月3日インゲン豆収穫
6月4日インゲン豆収穫
6月4日水稲代かき
6月5日水稲代かき
6月6日水稲苗くばり
6月7日インゲン豆収穫
6月8日水稲田植え
6月9日水稲苗床代かき
6月9日インゲン豆収穫
6月11日インゲン豆収穫
6月12日インゲン豆収穫
6月13日インゲン豆収穫
6月14日インゲン豆収穫
6月15日インゲン豆収穫
6月16日インゲン豆収穫
6月17日水稲補植
6月18日暮らし延縄(はえなわ)
6月19日暮らし延縄
6月20日インゲン豆収穫
6月21日インゲン豆収穫
6月22日インゲン豆収穫
6月23日インゲン豆収穫
6月24日水稲草刈り

6月も田植えが残っていますね。

田植えが終わったらウナギトラップを仕掛けたり、野菜のお世話をしていたようです。

インゲン豆のシーズンが到来したみたいですね。

7月

7月1日暮らしアユ解禁
7月2日ナス追肥(千代田化成)
7月2日トマト追肥(千代田化成)
7月2日ゴマ追肥(千代田化成)
7月3日水稲草刈り
7月9日イモ草引き
7月10日イモ草引き
7月11日イモ草引き
7月14日麦こき
7月18日暮らしアユ取り78匹
7月18日水稲もち米中干し
7月19日暮らし祭り
7月26日水稲田役
7月28日水稲草刈り
7月28日暮らしアユ取り38匹
7月29日水稲草刈り
7月29日暮らしアユ取り22匹
7月30日水稲草刈り
7月30日暮らしアユ取り22匹
7月30日水稲草刈り
7月30日暮らしアユ取り10匹

村に夏がやってきました。

アユ漁の解禁です。

田植え時期に刈った雑草たちが育ってきた頃なので、草刈りの作業量が増えています。

月末は草刈りをして汗をかいたら、川でアユを取る。

というルーティンで動いていたことが見てとれます。

8月

8月1日暮らしアユ取り
8月2日暮らしアユ取り
8月6日水稲草刈り
8月7日水稲草刈り
8月8日暮らしアユ取り
8月9日水稲草刈り
8月14日暮らし祭り
8月26日水稲水路の管理
8月27日水稲水路の管理
8月29日暮らしガネかご

高知県の8月は日差しが強すぎて日中は作業になりません。

涼しい時間に草を刈って、暑くなってきたら川でアユを取っていたようです。

台風の影響で水路が土砂で埋まったりするので、補修作業が入っていますね。

 

夏休みの終わりごろになるとガネかごを仕掛けています。

ガネかごとは、モズクガニという川で暮らす大きめのカニを捕獲するトラップのことです。

私の村では”ガネ”と呼びます。

モズクガニは上海ガニの仲間なので出汁が絶品です。

村の人は茹でてカニみそなどを啜るのですが、私はあまり好きではありません。

モズクガニ

なぜ夏休みの終わりごろに仕掛けるかというと、泳ぎにきた子供たちに悪戯されちゃうからです。

私も子供の頃は勝手に引き上げて、何が入っているかを見て遊んだものです。

9月

9月10日水稲草刈り
9月11日水稲草刈り
9月12日水稲草刈り
9月13日暮らし運動会
9月13日水稲草刈り
9月14日水稲草刈り
9月15日暮らし延縄
9月19日暮らしコロバシ
9月20日暮らしアユ取り62匹
9月21日暮らしアユ取り2匹
9月22日暮らしサマツタケ
9月24日暮らし大雨でガネかごが流れる
9月27日水稲稲刈り
9月28日水稲稲刈り

9月になると稲刈りの準備がはじまります。

作業がしやすいように、あぜの草刈りをしなければなりません。

 

9月13日には運動会があったようですね。

私の村の運動会は保育園・小学校・中学校合同の運動会で、一般の人も参加できる一大イベント。

なので農業日誌に記入したのでしょう。

 

9月19日にはコロバシを仕掛けています。

コロバシもウナギトラップです。

木でできた長い箱状の形をしており、中にテナガエビやシーボルトミミズを入れて1週間ほど川に沈めて使います。

 

9月22日はサマツタケを取りに行っていますね。

サマツタケとはバカマツタケのことで、とても美味しいです。

月末には稲刈りスタート。

大雨で流されたガネかごの雪辱戦のごとくはじまっています。

10月

10月2日水稲稲刈り
10月3日水稲稲刈り
10月4日水稲稲刈り
10月5日水稲稲刈り
10月7日水稲乾燥
10月11日水稲ワラ販売20巴
10月12日水稲田焼き
10月13日水稲田焼き
10月17日暮らし鉄売り
10月18日水稲機械の掃除・片付け
10月19日ブロッコリー定植
10月20日草刈り
10月22日ドングリ草刈り
10月22日野菜類草刈り

10月初旬に稲刈りが終わったら、それ以降の農作業は消化試合といった感じです。

乾燥させたモミを米蔵に入れたり、田んぼを焼いたりしていますね。

田焼きの様子

ワラは村にワラ買いがやってくるので売っています。

ネギ農家さんやカツオのタタキ業者さんが買い取ってくれるんですね。

 

バインダーで刈り取った束を、11把にまとめたものが1セットで売値150円。

2015年の頃はそれくらいの金額でした。「米を売るよりも儲かる」とよく言われます。

販売用のワラの束

10月17日の鉄売りのことは記憶にあります。

集落の各家庭にある鉄ごみを集めて業者さんに売りに行きました。

軽トラックいっぱいに鉄くずを集めて手に入れたお金は数千円。

帰りに父親と2人でラーメンを食べたら無くなってしまいました。

苦労したのに・・・。

 

四万十市の場合、大英環境機構有限会社さんが鉄やアルミを買い取ってくれます。

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10月22日にドングリの草刈りをしていますが、ドングリの実を食べるためではありません。

しいたけの原木にするためのものです。

11月

11月13日タマネギ苗購入
11月15日暮らし地域清掃
11月16日タマネギ定植
11月17日ゆず草刈り
11月19日ゆず収穫
11月20日ゆずゆずしぼり
10月20日野菜類草刈り
11月24日エンドウ豆畝たて
11月15日エンドウ豆定植
11月16日エンドウ豆定植
11月16日エンドウ豆垣根仕立て
11月17日エンドウ豆垣根仕立て
11月30日イモ手芋堀り

田んぼが終わった11月。

どうやら翌年の春に向けてタマネギや豆を植えたりしていた模様です。

草もそれほど伸びなくなってくるので、のんびりしていますね。

12月

12月4日イモイモほり
12月5日イモイモほり
12月6日暮らし門松の素材とり(木材)
12月7日イモイモほり
12月9日水稲納屋の掃除
12月6日暮らし門松の素材とり(センリョウ・ナンテン)
12月18日暮らし門松づくり
12月19日暮らし門松づくり
12月19日暮らし門松の素材とり(クマザサ・松)
12月22日暮らし門松の素材とり(ナンテン・松)
12月23日しいたけ収穫
12月25日剪定
12月26日暮らし門松の素材とり(ナンテン)
12月27日暮らし門松づくり
12月28日暮らし門松配達

12月はイモ堀りと門松のシーズンです。

なんと私の父親は門松メーカーなのです。

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まとめ

2015年分のデータ化が終わりました。

あと2年分残っています。

 

こうしてまとめてみると、暮らしぶりが豊かだなぁと思いました。

ネイチャーと隣り合わせで生きていて、ガネかごが流れたことまで日誌に記している。

私も父親を見習いたいと思います。

おしまい。