住次郎様が住んでいた集落にて
私はいま、住次郎(じゅうじろう)におります。
木材の交易所がある大正町まで22km。
曲がりくねった道の先には何があるのか。
木材の交易所に行く用事ではないので、
住次郎トンネルを北に抜けてすぐそこにある、
青看板が反り立つ分岐路で右に曲がる。
2車線に別れを告げ、軽自動車同士がすれ違うとしても、
それなりの勇気とドライビング・テクニックが必要な道を突き進むのだ!
私は国道439号線から県道367号線に舵をきったわけです。
ヤイロチョウモービルが唸り声をあげながら、立ち寄る場所は酒井鮮魚店。
ラストショップです。この先にお店はありません。
山奥にある鮮魚店さん。
山の中にありますが、お街の市場で魚を仕入れてくるので新鮮な刺し身などが頂けます。
パンとコーヒーを買ったらオバケトンネルに向けて出発。
休校になってしまった片魚中学校のあいさつ看板。
中村市は西土佐村と合併したので、2023年現在は四万十市。
過去の遺産ではなく、地区の思い出なのだ。
片魚中学校の音楽室は地域の任意団体が事務室として活用しています。
とにもかくにも常六(じょうろく)方面へ舵をきります。A hoy!
大屋敷地区
六絛神社
およそ800年前のできごと。
8匹の狼がお姫様を襲いました。
お姫さまは赤ん坊を出産してすぐのことだったのでクタクタ。
逃げる元気なんて、とんでもない!
それでもお姫様は赤ん坊を抱っこして、木に登ったのです。
「あっちに行って!」と言いながら、持っていた鏡で狼をビカビカと照らしました。
しかし願いかなわず、お姫さまと、赤ん坊は狼に食べられて死んでしまいましたとさ。
高知県の西南部は荘園の歴史が長いので、乱にまつわる昔ばなしがあちこちにありますね。
お姫様が登ったであろう木は、よくわかりませんでした。
廃線になっても道端でバスを待ち続けるバス停。
ほ場改良された、大きな田んぼ。
花街道の先を行くと常六(じょうろく)が現れる。
常六地区

常陸山瑞雲寺
むかしむかしのお話です。
高知県の山奥に、茨城県から和尚と小僧がやってきて寺を建てました。
地蔵菩薩がまつられたお寺は、村の衆がワラジを新調してお参りに来るほど賑わったそうな。
長い年月が流れ、スウカン和尚が瑞雲寺の何代目かの住職になったのですが、
なんとスウカン和尚は川の深いところに自分から飛び込んで死んでしまったのです。
仕事のプレッシャーにたえられなかったのでしょうか?
今でもスウカン和尚が飛び込んだ場所はスウカン淵とよばれているそうですね。
常六という地名も、常陸山瑞雲寺が由来になっているとか。
細い道を抜ける。
ものすごく民家の隙間。
左側の家は長い間空き家なことは知っているので、
お邪魔する申し訳なさは少しだけ違います。
小さな祠がひっそりと建っています。
正遷宮王子宮之墓(王子さま)
およそ290年前のおはなし。
9月合戦に破れた3人の武士達が、殺されまいと逃げ惑うなか常六にやってきました。
道すがら村人たちにワラジを貰えないかと頼んだところ、全員に断られたので口止めをして山を越えて隣村へ。
しかしながら、許すまじと追跡してきた追手につかまり3人の武士はみんな殺されてしまいました。
ワラジもあげずに様子を見ていた村びとたちは殺された武士たちを哀れに思ったらしく、霊を弔ってあげたそうな。
物語に「王子さま」が登場しないところが前衛的で良いですね。
正遷宮(しょうせんぐう)とは”神社の本殿の造営修理が終わって、神体が仮殿(かりどの)から本殿へ遷座すること”らしいのですが、名前の由来が謎すぎます。
こじんまりとしたカワイイ石碑。
ひっそりと常六を見守っていますね。
機会があればワラジを持って行こうと思います。
王子さまを通り過ぎて、少しばかり進んだところで分岐が登場。
左へ曲がればお隣の四万十町。
右へ曲がればお隣の黒潮町。
オバケトンネルは四万十市と黒潮町の境なので右へ舵をきります。
丸渕橋で休憩。
河原へ降りてみたところウグイが元気に泳いでいました。
真っ黒い石があったので、スピリチュアル的な行為。
休憩をするのにいい場所です。
三ツ又地区

長命の水
「この水うめー!うまいからみんなも飲んでみなよ!」
「ほんとだ!うめー。」
おわり。

長命の水でコーヒーを沸かしたら美味しいらしく、遠方から水を汲みに来る方がおられるそうです。
湧き水で入れたコーヒーっておいしんですよね。

冬の湧き水ほど冷たいものはないですね。
顔を洗うと脳みそがシャキッとします。
河内神社(三社大明神)

むかしむかし、三ツ又に大きな熊がいました。
その熊は猟師と犬に殺されてしまいました。
月日が流れ別々の場所に埋葬されていた熊と猟師と犬ですが、
台風の大雨で流されて、なんと3体とも偶然同じ場所に流れ着いたのです。
「まつって欲しいのかもしれんのぉ」ということで、熊と猟師と犬を「三社大明神」と名付け神様としてまつりあげましたとさ。
おしまい。

物語に熊が登場するのが山奥らしくて良いですね。
昔は高知県西南部にもツキノワグマが生息していたようで、曽祖父がマタギをやっていたという方にお会いしたことがあります。

巨木ハンターの血が騒ぐ看板。
600年の杉はなかなかのものです。

河内神社の御神木。

境内。
入口の前がとても狭いのが特徴的だなぁと思います。

神社の様子。
拝殿と本殿がセットになっているオールインワンタイプです。

苔の世界。

神社の下を流れる川。四万十川の支流 後川(うしろがわ)の上流域です。
地区のお祭り「ぎんなん祭り」では、アマゴが放流され渓流釣りを楽しむことができます。

三ツ又を象徴する三叉路。
右へ舵をきるとその先に集落はなく、峠を越えた先に海の町があります。

三ツ又地区最西端にある杉ビキニ。
製作したおじいさんに「いいですねぇ、これ。」と言うと、
「ええじゃろ」と仰ってニヤリをと笑いました。

ここまで来ると看板が手書きになります。

シイ・カシの雑木山が広がる峠道を登ると・・・
三ツ又オバケトンネル|佛ケ森隧道

四万十市と黒潮町の境にある佛ケ森隧道。
隧道(ずいどう)とはトンネルの昔の呼び方だそうですね。
「兵隊のオバケがでる」という噂がある、地域では有名な心霊スポットです。
祟りがあるのかは分かりませんが、数年前に内緒でご案内した方々は、どうなることかと思いましたがご息災です。
ご息災の方隠す気はなかったのですが、いざ向かう直前で「心霊スポットじゃないよね?」と聞かれたので「チガイマスヨ」と答えるしかなかったのです。
夜中に来たらかなり雰囲気があると思うので、ドキドキ肝試しチャレンジにはピッタリだと思います。

トンネルをくぐる。
コウモリが住んでいるかと期待しましたが、いませんでした。

トンネルを抜けると海が見えた!
道路が整っていなかった50年以上も前は、山に登って海を眺めるのが山の民の一大レジャーだったそうですよ。
インフラというは人の暮らしを変えるものですね。
まとめ
三ツ又オバケトンネルを目的地に定めて、県道367号線~県道55号線沿いにある史跡を巡ってみました。
いろいろなスポットがありますが、看板だけでは詳細が分からないので悔しいです。
正遷宮王子宮之墓の名前の由来だけ謎過ぎるので、常六地区でリサーチをしたいと思います。
おしまい。